冷雨。

地方都市のアーケードには冷たい雨が落ちていた。話がはずむものの次に繋がるものがなにもなかったアポイントを終えて、商店街のなかにある小さなモールの休憩スペースのソファに腰を下ろしていた。モールの前にもベンチはあるのだが、外で待つにはあまりにも寒い。遠くに見える高い山にはもう白いものが見える。

モールは空き店舗も多くがらんとしている。空いたスペースにひとの背丈よりも大きなクリスマスツリーが飾られている。ツリーの足下に置かれたプレゼントの包装紙はなぜかエビスビール。ひとり笑いがこみ上げてくる。

長いソファの端に、大ぶりな鞄を持ったスーツの3人組が現れた。分野はわからないが同業者に近いはずだ。聞き慣れたフレーズがちらちらと聞こえてくる。向こうは3人、しかもそれなりに歳を重ねた人もいる。こちらは僕ひとり。この街はその規模に似合わず3つの金融機関が本店を連ねており、僕のようにアポイントをはしごしているのだろう。3人でこの冷たい1日を過ごすのは、ひとりで過ごすよりもさらに辛いような気がする。

地方創生と言うけれど、この空間に漂う言いようのない寂しさはどうしたら良いだろうか。そもそも、この空間を盛り上げることが地方創生が目指していることなのだろうか。(念のために言うと、新市街のイオンモールやロードサイド店はそれなりに賑わっている)僕にはよくわからない。