バスターミナル。

出張明けの朝、バスターミナルの立ち食いそば屋でカレーを食べた。どんよりと雲が立ち込めて、冷え切った朝だった。

大盛りのカレーに悪戦苦闘しながら、ターミナルに出入りするバスを眺めた。コンクリートむきだしの柱が立ち並ぶ、天井の低いターミナル。排気ガスの臭いがかすかに漂ってくる。

地方にはこうした昭和の香り漂うバスターミナルがいまだ少なくなくて、僕はこの雰囲気がけっこう好きである。どこかもっさりとしたモノトーンな格好でバスを待つ人たち、訛りのある響きで告げられるバスの到着、古めかしい日用品の看板、おおよそここ数十年変わることのない風景だったはずだ。

最近でこそバスを使うことは少なくなったけれども、昔はそれこそ夜行バスにたくさん乗っていた。東南アジアにいっても移動はもっぱらバスであった。バンコクのばかでかいバスターミナルも懐かしい。

自分さえ決断すれば、またどこへでも漂っていける。そんな気にさせる空気が、どこのバスターミナルにも流れていると思う。