スナック。

大阪で、久しぶりに行きつけのスナックに連れていってもらう。自宅でも、仕事場でもない落ち着ける第三の場所があるというのは本当に幸せなことだと思う。歌い慣れた唄をカラオケで歌うと、全身から充足感が溢れ出すようだ。

スナックという場所が狭いことも良いのだろうな、と思う。狭くて薄暗い場所にいるとたいていの人間は落ち着けるのだろう。スナックのママはみな綺麗というよりは親しみやすい雰囲気を持っているのも重要な点である。

楽しく唄っているうちに、すぐに新幹線に乗らなければならない時間がやってきて、後ろ髪を引かれるように店を後にする。夜の梅田の街をほろ酔い気分で歩きながら、次はいつ来れるだろうかとこの先の予定を指折り数える。

ラウンジやキャバクラに連れていってもらったこともあるけれど、どうも誰もが背伸びをしている感じが抜けないし、もうそういう場所でなにかを望むような歳でもなくなった。刺激よりも、安息を求めるようになったら、スナックが1番しっくりとくるようになった。