野球部物語⑦。

(前回より続く)僕は高3に進級した。引き続き生徒会活動にも少しは首を突っ込みながらも、受験勉強がメインの生活になった。

野球を最後まで続けた同期6人のなかで、I君の他に、僕はY君とも仲が良かった。毎日のようにメールをやり取りして、たわいもないことから将来のことまで、言葉を交わした。そんな彼も最後の夏を迎えていた。

最後の夏の大会を、僕はまたS君と見に行った。去年よりも多くの、同学年の友人が試合を見に来ていた。Y君はセカンドのレギュラーだ。自分のことのように思いを込めてスタンドから見つめていたが、Y君は空振り三振が2つ、その後守備でも痛恨のエラーを犯し、なんとイニング途中に守備を替えられた。ひとつ下の控えの選手がグランドに出ていくなか、うなだれてベンチに戻る彼の姿を見るのは辛かった。そうして夏が終わった。僕たちの同期も引退した。

とりとめのない2年半の記憶だ。でも、僕にとってはかけがえのない、そして甘酸っぱく恥ずかしい、夏が来ると必ず甦る思い出だ。