命の価値は。

ISILによる日本人人質事件は、最初の犯行動画の掲載から1週間以上が経過したが、後藤健二さんの安否が未だに分かっていない。

後藤さんは今の日本国内での騒ぎを知る由もないだろうが、もし知っていたならばどれだけ不本意な気持ちにさいなまれるだろう。自分の身に起こることについては全て自己責任である、と承知のうえでISILのエリアに立ち入ったにもかかわらず、日本政府のみならずヨルダンの人々をトラブルに巻き込むことになってしまった。自己責任と思っていたことが、自分の責任範囲を大きく越える事態になってしまった。無事に生還したとしても、自分自身の引き起こした事態を把握すれば、後藤さんはどれほど辛い思いに襲われるだろうか。周りの人がどれほどフォローしたとしても、1人では到底受け入れきれない十字架を背負ってしまうのではないだろうか。

もちろん、無事に生還してほしい思いでいっぱいなのだけれど、後藤さんの人柄や戦地で活動しようとするモチベーションなどを伺い知るに、生還した後のことも大いに心配でならない。

もう一つ気になったのは、先日フジテレビの現地スタッフが今回の件の取材中に交通事故で命を落としたということだ。一応各局ニュースでは取り上げられたが、後藤さんや湯川さんと比べるとその扱いはあまりにも小さかった。一報が流れた瞬間フジテレビを見ていたのだが、さらっと伝えただけですぐに別のニュースに切り替わり、お悔やみの言葉もなかった。命の重さとはなんだろう、と考えさせられる。