採血の春。

1年で最も憂鬱なイベントである健康診断(採血)を無事終えた。毎度のことながら、お勤めを終えて娑婆に出てきたような気持ちである。

1か月ほど前、健康診断の日程の案内が来る頃から、この憂鬱な季節ははじまる。まだ先だと思っていたイベントが、思いの外目の前に迫ってきていることに気づき、ゲンナリとしてしまうのだ。そこから当日までのカウントダウンがはじまる。

もとより、この時期は仕事も繁忙期であるので、2,3年前などは忙しさに紛れて採血への恐怖を感じる暇もなくあくせく働いていた。それはそれで幸せなことなのだろうとは思う。

今年の採血は、上手な看護師さんにあたったことで、無事に終わった。また来年まで、この憂鬱な時間とはしばしサヨナラである。クリニックを出て顔にあたる柔らかい早春の風が、僕を祝福しているかのようである。

そんなわけで、この時期の僕の足取りは心なしか軽やかだ。もともとは秋が好きだったのだが、社会人になってから、同じくらい春も解放感のある好きな季節になった。