『格付けしあう女たち』。

格付けしあう女たち』を読了。まず題名の付け方で惹きつけられる。しかしながら読んでみると、題名には似合わず、しっかりとした作りで、女性の生き方を支えるような内容で良かった。これは男女問わず読むべきだと思う。

★★★

著者の白河桃子さんはここ数年コラムでよく見るし、読んだコラムひとつひとつが印象に残る。本書はそれらコラムに比べると文章の切れ味には欠けるし、挙げられている具体例は似たようなものが多くややもすると冗長なように感じたけれども、それはおそらく僕がこの人のコラムをよく読んでいたからであって、きっとまっさらな状態でこの本を読めば、本書を通して伝えたいことが丁寧に具体例として盛り込まれていて、うまくまとめられていると感じられるのであろう。そして、切れ味がない代わりに、読む側に嫌味な印象を与えないように言葉を選んでいる工夫が伝わってきた。題材が題材だけに、この点については相当腐心したのだと思う。いくら表現を尖らせて気を引こうとしても、それが原因で読む側を感情的にさせてしまっては、伝わるものも伝わらないのだ。そういう意味この本は、どのような立場にある女性に対してもオススメできる。もっとも僕がオススメしても良くはないだろうが。

内容としては、女性が格付けしあう原因を社会学的な観点から読み解いており、下世話なエピソード集からは一線を画している。結局のところ、行き着く答えはそこ(そこが何なのかは是非本を読んで見つけてほしい)なんだろうなぁ、というところは非常に共感。ただ、僕の考えていたこととこの本の思想がたまたま一致しただけなのかもしれないので、この本の思想に共感できなかった、という話もぜひ聞いてみたい。そもそも思想が違うのか、これが正解だと感じていながらも、それを認めたくない自分がいるのか、そのあたりも聞いてみたいところだ。

おそらく男性がこの本を読めば、ふーんそういうことか、と案外すっと受け入れることになるだろう。そして、今までこの人はなぜこんな行動を採るのだろう、と不思議に思っていたことが腹におちたりもするはずだ。「格付けしあう女」を作った原因は少なからず男性にもあるのだが、男性もまたそのような女性の影響を受けて生きているのだ。例えば母親から、クラスメイトから、恋人から、妻から、娘から、、それぞれの立場からあおりを食っているのだ。女性化しつつある男性社会においても、「格付けしあう女」と似たような事態すら出てきている。そういう意味で、男性にもオススメしたい本である。

ただしこれを読んでしまうと、Facebookの投稿をまた違うバイアスで見てしまいかねない、という副作用はある笑。