ひとり歩き。

妻も旅行に行ってしまったので、ひとりで山歩きをしてきた。おそらく初めての単独山歩き。

★★★

当初は谷川岳に行こうと思っていたのだが、寒気の影響が大きく天候も崩れていたので、仕事上の調査を兼ねて房総半島に行く。朝早くからさくっと用事を済ませて、半島を半分横断するかのように縦走ルートを歩く。房総半島は山と言うよりは台地が多く標高はさほど高くないのだが、細かいアップダウンが続く里山の道をひたすら歩き続けた。なによりも冬の太平洋側らしいカラッとした青空で、身体を動かしていると汗ばんでくる。

房総半島にはほとんど足を踏み入れたことがなかったのだが、想像以上に開発の手が加えられておらず、のどかなところであった。背の低い山がところどころでこんもりと鎮座し、その合間に畑が広がっている。幹線道路を離れると人家もほとんどなく、うねりのある丘陵が重なる光景は北海道と見間違うほどだ。

逆に房総半島ならではの光景と言えば、空を飛ぶ飛行機の姿か。空を見上げればけっこうな確率で、高度を下げながら房総半島の上をぐるっと回りながら木更津に向かい、羽田へ着陸しようとする飛行機が見える。ここはそういう場所なのだ。

途上、とあるテーマパークで休憩をする。ここで初めて持参した水筒のお茶を飲んでみたら、その味がなんと甘かったこと。3時間歩き続けて初めて摂った水分とはこんな味がするのか、とひそかに感動。普通にレストランで食事をするのは胃に重い気がしたので、チョコレートを行動食代わりに食べる。エネルギーが切れかかっていたところから回復。また6月になれば乗鞍マラソンを走ることになるので、エネルギー切れになりそうな状態の自分の身体を知っておくという意味でいい経験になった。テーマパークは3連休の初日だというのにがらんとしており、やけにハイテンションな着ぐるみを着たキャラクターが、数少ないお客さんを相手にそれでも必死で場を盛り上げようとしているさまが心に残る。ここはディズニーリゾートからはあまりに遠く離れた山の中。

ハイペースで歩き続けたので、後半には足がパンパンになってくる。ルートはシンプルなので、なにも考えずにただ足を動かす。過度に負担がかからないように、一定以上に足に力をかけないように微妙に加減をする。iPhoneも取り出さず、五感を周りの風景を吸収することと、身体と対話することだけに集中して歩く。大分と傾いた冬の太陽が優しく照らしてくれる。