13回目。

13回目の3.11。もう遠い昔の話のようにも思えるけれども、まだまだ鮮明に思い出せる。当日のことも、それから数か月のことも。

当時は結婚が決まっていて、同居の準備を始めた矢先のことであった。計画停電がまだ多少は続いているなかで、蒲田やそこらの不動産屋さんをまわった記憶がある。なにもかもが不安定で、当たり前の日常が続くものではないのだと思い知らされた日々。春とは名のみの寒さが4月に入っても続くなかで、少しずつ新しい生活の準備をした。

いろんな感情が目の前を通り過ぎていった。諦念に包まれたこともあれば、義憤に駆られたこともある。人間とは素晴らしい心を持った生物だと思ったこともあれば、なんと醜い生き物だと感じたこともある。少しずつ日常が戻り、景気もだんだんと回復をしていくなかで、それらは大半が忘れ去られていき、でもいつまでも心にこびりついて離れない部分もあった。

いまなお、帰還困難区域は残っている。何度も仕事を絡めてあのエリアには足を踏み入れた。これからも折に触れて訪れることになるだろう。