恩送り。

昔から親しい人と話す。その人と一緒に自分も、ささやかながら奉仕活動に長年従事しているのだが、自分よりもはるかにその人のほうが、献身的に奉仕活動をしている。

 

ふと思い立って、どうしてそこまで奉仕ができるのですか、と聞いてみた。そうすると、娘さんの旦那さまが聖職者にあり、経済的には恵まれない状況にあったのだが、周りの人の奉仕に助けられて生活ができていると。その恩を返したいのだが、住む場所も遠く離れていて簡単に行動には移せないので、自分の生活圏の範囲でできることをしている、ということだった。

 

なるほど、目から鱗である。自分もまた、たいへんお世話になった人がいて、その人に恩を返すことはもはやできないので、代わりに自分ができる身近なところで恩を返そうとしている。まだまだふらついているところもあるけれども、いまの自分を形作った場所に、成長してから恩を送ることで、いまを進んでいく原動力にもなっているのだ。

 

人生、人からなにかを奪って得た成果よりも、人に与えることができたことのほうが価値がある。