ねじこむ。

このところは朝夕のラッシュを避けて生活していたので、体力を消耗することもなかったのだが、久しぶりに踏切安全確認を事由とした混雑にぶちあたってしまった。ターミナル駅で電車が止まってしまい動かない。ぎゅうぎゅうの電車に乗り込む人、諦めて別の手段で移動すべく車両から抜け出そうとする人、ホームで立ちながら様子見を決め込む人、みんなそれぞれである。こちらはあまりあれこれと考えるのも体力を使うので大人しく車中の人となって時間をやりすごしたが、この密集の感覚は久しく忘れていたものであった。つい数年前までは身体を車両にねじこむようにして朝のきまった時間帯にみな会社に向かっていたのである。改めていまでは考えられないくらいに非効率で疲れてしまうようなことをみんな盲目的にしていたのだなぁと感じる。

自宅最寄りの路線も昔はラッシュで有名だったが、いま社会が元に戻ってきても、あふれそうな車輛のドアに身体を滑り込ませるようなことはなくなった。通勤ラッシュもまた過去の光景になりつつある。もちろんすし詰めの車内で数十分過ごすと疲れはするのだが、ある種の高揚感があるのもまた事実である。