トラックの荷台から。

ソンテウとジプニーの値上げの話を耳にした。どちらも懐かしい言葉だ。前者はタイの、後者はフィリピンの乗り合いトラックとでも言うべきか。ソンテウは比較的シンプルなつくりで、ジプニーはギラギラの装飾がついている。

これらの乗りものに腰を落として東南アジアのでこぼこの道を走っていたのはもう20年くらい前のことになるのだ。そして今でもその精神は自分のなかから消えていないのだと信じている。

時代とともに消えていく乗り物だとは思うが、まだまだしぶとく残っているという話を聞いて嬉しくなった。タイもフィリピンも経済成長は著しく、かの国から日本に遊びに来ることも珍しくなく、あちらの富裕層は既に大多数の日本人よりも良い生活をしている。こちらからかの国に遊びに行っても、おカネを湯水のように使って豪遊できるような物価の差ももうなくなっている。それでも、日本ではもう感じることのできないノスタルジアを、こうした乗りものに乗ることで思い出せるのだと思う。

いつかまた、トラックの荷台に揺られてアジアの大地を走ってみたい。もう道はでこぼこではなくなっているのだろう。