ひとめぐり。

12回目の3.11である。もう干支が一巡りしたのだ。

Covid-19も衝撃的なイベントであったけれども、12年前に日本を襲ったアクシデントも、多くの人の人生を揺さぶることになったし、この自分もその1人であった。とにかくあの年はいろんなことを考えたな、という記憶が今でも残っている。なんのために生きるのか、なんのために働くのか、そんな原点を見つけた人もたくさんいたことだろう。

仕事でよくお付き合いをしている人は、当時松島のホテルでマネジャーをしていた。高台にあるホテルは津波の被害からも逃れ、やがて家を失った人、家に住めなくなった人のために部屋を提供し、お風呂を貸し出す役目を担うことになった。その時の、土気色をしてホテルにやってくる人の顔が、お風呂に入ることで上気して赤みを帯びた顔に変わるその姿が忘れられなくて、それからも宿泊産業に関わる仕事をしているのだと語ってくれた。

また、10年以内には、同じような試練がこの国に訪れることになるのだろう。その時に、自分の使命とはなんなのか、ということを考えて、いや考えるよりも先に本能で動けるようでありたい。