老成。

温暖な地方に行く、もうこの時期から早咲きの桜がかの地では花開いている。偶然の産物からこの地域に足を踏み入れることになったのだが、いい場所だなとつくづく思う。

 

この地域が最も栄えたのは、昭和40-60年代なのであろう。バスが1日に何台も横付けになり、宴会場が何百人とひしめいていた時代だ。この国はいまよりもずっと若かったし、その勤勉な労働者が社員旅行という名のレクリエーションをしていた時代だ。

 

いまの若者のほうが安価でなんでも手に入る時代になったのは事実だ。そして、情報も以前と比べればぐっと入手しやすくなった。しかしながら、昔の社員旅行のような体験からは相対的に遠ざかってしまったし、身分の安定もないように思う。どちらがいい時代なのかはわからない。ただ、この地方の自然は昔と変わらず穏やかに人間を見守っている。若い人もいるにはいるが、どちらかというと、リタイアしてしまった人が憩いにきて、もてなす側も相当に高齢化している。老いた国になってしまった。