異世界。

(昨日の続き)温泉につく。真っ暗闇のなかに人工的な光が控えめに灯る。なかには昭和の世界が広がっている。浴衣を纏って歩く人の姿が見える。なんだかタイムスリップしたような気分になるが、自分もまた数分後には同じ姿になってフラフラと歩いているのだ。これはこれでいいような気がする。

 

ひとしきり、いろんな話をして、ゆっくりと温泉に浸かる。もちろん気持ちが落ち着くのだが、心からゆっくりできていない自分がいるのも確かである。それでも、その夜は、ぐっすりと眠ることができて、アラームによって起きるのではなく、自然な目覚めであった。

 

朝早くに目が覚める。ぼーっと窓からの景色を見て、何度も温泉に浸かる。睡眠が取れたのとあいまって、少しずつ身体の奥底の澱のような疲れがほぐれていく。きょうはまたかなり暖かくなりそうだ。

 

いままで訪れたことのない場所が、魅力的な場所だった、ということを知ることは、人生にとってかけがえのない財産だと思う。まだまだ、そんな場所を見つけに行きたい。