雨の夜。

大雨のなかの飲み会。店の前で三々五々散らばっていく。風も強くて、広げた傘がひっくり返される。目的地の地下鉄の入り口まではあと数十メートルなのだが、果てしなく遠く思える。


地下に入ってほっとひと息つく。蒸し暑いなかでジャケットを羽織っているので、酔いもあいまって激しい眠気が襲ってくる。ジャケットを脱ぎたいのだが、脱いでしまうとどこかに置いて帰ってしまいそうで、手放すわけにはいかない。


つり革に両方の手を預けてなんとか立つ。もうかなり遅い時間なので、ほどなく席は空き、傘の柄に頭を乗っけるようにして突っ伏す。ほどなく意識が飛んでゆく。数分間ののちに覚醒して、乗り換え駅についたことに気づく。よろよろと立ち上がるが、次の電車までは5分以上あることに気づき、ホームのベンチにてさっきと同じポーズで突っ伏す。またそこで意識が飛んで、何本か電車をやり過ごす。そうしてようやく少し頭のなかが晴れてくる。


疲れがたまっていたのだろうか、酒に弱くなったのだろうか。