南国。

関東近郊ではあるけれども、地方に行く。やっぱり地方は面白い。もちろん、土地ならではのしがらみもあるし、なにもかもがうまくいくわけではないけれども、ポテンシャルがあって、自分たちがなにかすればその分よくなるはず、という手触り感があるのはよい。


いやしかしとびきり暑い。関東は海沿いよりも内陸部のほうがこの季節は暑くなる。地表がゆらめいている。とはいえ、東京のように、グッと空調がきいているようなところはあまりないので、むしろ体調は崩さないのかもしれない。


なんというか、地方にいると、ああある程度適当にやっていてもなんとか生きていけるな、という根拠のない気持ちがムクムクと湧きあがってくる。収入は望めないが、生活コストもそれに応じて低いし、求められる水準感が東京とは違う。別にバリバリやるだけが人生でもないのだ。なぜか、訪れる前よりも身体も心も軽くなって、帰りの電車に乗り込む。


特急列車から乗り換えていつもの通勤電車へ。弱冷房車はいつにもまして空調が効いておらず、ベタベタとした南国の空気が流れている。自分にはやはり、このくらいがちょうどよい。