ユニットバス。

近県に外出する。いつも素通りはするのだが、降りることはほとんどない場所だ。なんとなく非日常感があって、気持ちも新たになる。


15年ぶりに訪れた街である。15年前はものすごく狭いホテルに泊まったことを覚えている。新しい仕事をはじめて半年少しくらいで、なんというか言い知れぬ不安を抱えながら、ひざを抱えて古いユニットバスに浸かっていたことを思い出す。


あれから15年、やり遂げたことは多いし、まだまだ道半ばとはいえ、ある程度のところまでは来た。とはいえ、あとは成りで進めればよい、という場所にはまだたどり着いていないし、まだ苦闘し続けるのだろう。それくらいでないと人生は面白くない、とも言える。


夏がもうすぐやってきそうで、歩いていると汗ばんでくる。場所を間違えて焦って走りはじめると、際限なく汗が噴き出してくる。汗が流れ落ちて、マスクのなかに入り込んでくる。ハンカチで拭いても汗が止まらない。なんなら少しスッキリしてしまっている。


汗ふきふきの面談も終わり、危急の電話対応をしていたらあっという間に空が暮れ始めている。ああ、もう1年も半分が過ぎようとしているんだなあ、と気づく。