アサガオ。

去年息子が学校で咲かせて、夏休みに持ち帰ってきたアサガオの種を、自宅のベランダの鉢に埋めた。まあまあ良い時期に種蒔きをしたとは思うが、芽を出して双葉をつけて以降はほとんど伸びることなく、ああこのまま枯れてしまうのかな、と思っていた。


梅雨になり、雨の日がだんだん増えてきたところで、ある日突然アサガオが花を咲かせた。近くによって様子を見ていなかったのだが、どうやらつぼみもできていたらしい。地上10センチくらいのところで、紫いろの花弁が広がっていた。


夕方には花はすぼんでいた。翌日朝もどうかと思い覗き込むものの、それからは花をすぼめたままであった。どうやらこの1日だけのことだったようだ。このあと、種をつけることはあるのだろうか。


1日だけ咲いたアサガオ。なんともけなげで、植物にも意思はあるのかしら、と考えさせられるものであった。たとえ一瞬であっても、精いっぱい自らの生きた証を表現するのだ、という力を感じた。ああ、ぼくたち人間もまた、かくありたいものだなあと思わされた体験であった。