潜水のような。

焼き鳥屋さんで3時間半の濃密な面談。店を出て冷たい夜風に吹かれると、潜水から水上に飛び出したかのようにふうと深呼吸をした。ああ、昔もこんなふうに、手持ちの案件の情報交換をみっちりとやっていたなあ、と思い出す。


何年も追いかけてきた案件を仕留めるのは、仕事の醍醐味である。これだけ時間をかけて、執念を持って追いかけた人もいないだろう、というくらいにしがみついている。諦めれば案件は誰かの手に渡ってしまう。必死で喰らい付いていれば、思ってもみないルートから打開策が生まれることもある。


息が詰まるような意見を交わしながら、こういう仕事が好きなんだよな、と頭の中で思っているもうひとりの自分がいる。もちろん、成就するため、祝杯を挙げるために動いているのだが、結果だけでなく過程もまた非常に楽しいものである。


そして、自分だけが良い思いをしても意味がないし、ひとり勝ちして逃げ切る、などということも現実は不可能である。鮮やかなノックアウトはできなくとも、最後までリングに立ち続けていればそれは勝ちなのだと、そういう意気で、これからもあり続けたい。