世界で描く。

最後にバックパックを担いで独りで旅したのは、2006年の10月のことだからもう5年近く前になる。去年屋久島旅行の行き帰りで九州で独りで過ごしたことはあるけど、もうリーマンパッカーなんて言ったら経歴詐称になるだろうか。もう一度ひとりでどこかに行きたい。

大学に入学してから2006年頃まで、旅もよくしていたし、旅している人たちのWebサイトを巡回するのも同じくらい好きだった。当時はブログやmixiが流行る前で、ホームページで自分の旅の経過を更新していく人が増え始めた時期だったように思う。『花の2002年出発組』という言葉もあった。

なかでも僕が好きだったのが、グレネコさんの『gurecat world tour last fly ^w^』(http://www.geocities.jp/gurecat22/index2.html)だ。世界各地を旅しながら、自前の測量ツールで滞在した街の手書きの地図を製作し、安宿の情報ノートに残していった人だ。特に2003年頃に製作されたアフガニスタン編は、アフガンを旅する世界中のバックパッカーが重宝したというスグレものだったという。彼の作品は、中東からアフリカを縦断して南米まで連なっている。旅好き、地図好きな僕は彼の製作した地図を全てプリントアウトしてコレクションしている。既に古い情報となってしまってはいるが、彼の地図を手にする度に、僕は今寝そべっているベッドが現地の安宿のそれであるかのようなデジャヴを覚えて贅沢な気分になる。

グレネコさんをはじめ、何人かの旅行者を僕は追いかけていたが、みな相次いで2005年〜2007年頃には旅を切り上げて帰国してきた。同じ東京の空の下で働いている人もいれば、行方の知れない人もいる。旅の後にも、確実に人生は続いていく。

Pages Not Foundになったサイトや、更新されず朽ちてゆくサイトもある。それでも、人生だけは続いていくのか、と思うとしみじみとする。