ひとり。

辛いことをひとりで乗り越えられるほど僕は強い人間ではない。よく、ひとりじゃないから強くなれる、なんて言葉があるが、本当に強い人はひとりでも、ひとりだからこそ強い。ひとりでは困難に立ち向かえないから、人に頼ったり力を借りたりするのだ。うまく人の力を借りることができるのはそれはそれである種の強さでもあるのだが。


でも、いまの世の中は強くなければ生きていけない世界でもない。たしかにまだまだ弱いことで損をすることもあるのだけど、弱いからこそ助け合って生きていくことができる、なにかと世話を焼いてくれる人がいる、そんな時代でもある。人間、持って生まれた性格はなかなか変えられないし、無理に改造しようとすると問題が勃発するので、弱ければ弱いなりに、生きていくしかないのだ。


そして、どこかで腹をくくるしかないのだ。結局のところ、人に頼るのには限界があって、どこかでは自分の足だけで立たねばならない。ひとりで生き抜いていかねばならない可能性はいつでも頭の片隅に置いておく必要がある。