土の匂い。
毎日午後になるとゲリラ豪雨が降る季節になってきた。外に出て雨に遭うのは勘弁してほしいのだが、雨が降る少し前に黒い雲がさっとやってきて、空気の温度が変わる感覚、そして土砂降りの雨のあとの涼しさはたまらない。小学生の頃の夏といえばそこまで暑くはなかったものの、カラッとした逃げ場のない日差しがどこまでも照りつけていたので、案外いまの時代のほうが過ごしやすい部分もあるのかもしれない。
いま住んでいるマンションの部屋に佇んでいると、スコールの訪れとともに土の匂いが漂ってくる。もともとなにも建っていない丘陵地帯だったからだろうか、土地の記憶がこんなところに残っているのだなとしみじみと思う。
雨の合間をぬって子どもを迎えにいく。急な坂を下り切ったところが子どもの通っている場所だ。こうやって迎えにいくことをもう6年間も続けている。あとせいぜい2年か、3年だろうか。全くもって、人生はあっという間に過ぎ去っていく。限られた時間でなにを残せるだろうか。もっと真剣に考えたほうがいいのかな、と気づく。