弱者の一撃。

BUMP OF CHICKENのインディーズ時代のアルバム「FLAME BEIN」「THE LIVING DEAD」を聴く。もう20年以上前のことになるのか。2005年に聴いても、2010年に聴いても、2015年に聴いてもまだ当時は地続きの世界を生きていると思えたのだが、2021年になってこれを聴きなおしてみると、もうこれは対岸の世界の話で、いまの自分はもう河を飛び越えた新しい、もう戻れない場所を歩いているのだと強く感じる。


でも、あの頃感じていた思いは変わることなく胸のなかにあるし、たとえ歩く場所は変われども、歩き方は変わらないのだと思う。数日でレコーディングを終わらせたあの頃の彼らのように、自分の感性だけを頼りにして手探りで進んでいく、そして果実を掴んでいく。そんな気持ちはいつまでも忘れずにいたい。いまでもあの歌詞を口ずさんでいれば、心の奥底から炎が湧き上がってくる。たとえ、見かけはおっさんになっても。いくつになっても冒険は冒険のままなのだ。


そうして、BUMP OF CHICKENは毎朝NHKで流れるようにまでなっても、「弱者の一撃」「臆病者の反撃」のままでこの世界を唄っている。