沼と袋小路。

ファストリ柳井社長の新疆ウイグル自治区に関する発言には考えさせられるものがあった。「政治的に中立だからノーコメント」というスタンスを貫くのはきっと未来の世界からは間違いだとみなされるだろう。


既にファストリは中国での売上が全体の30%を占めており、政治的な発言をすることでこれに急ブレーキがかかるのは避けたい、という気持ちも分かる。ただ、目先の売り上げよりも大切なものをこの発言で失ってしまった。結果論だが、いまの中国という国家で大きく事業を展開することのリスクが露呈してしまった。


この米中の争いがどう着地するのかはわからない。あっけなくカタストロフな出来事が起こって決着がつくのかもしれないし、ここから長年にわたって、どちらが勝ったとも言えない泥沼の駆け引きが続くのかもしれない。日本とそのなかで活動する民間企業も徐々にその旗色を鮮明にすることが求められてくるだろう。


どちらがいいと言うつもりもないし、はたして最後にどちらが勝者となるのかもわからない。ただ、どちらにつくにせよ、覚悟が求められるのは間違いなさそうだ。目先の売り上げや利益だけではない、プリンシプルに基づいた行動がなければ、思ってもみない袋小路につかまるのだと思っている。