卒園式。

息子の卒園式であった。前日の大雨が嘘のように空は青く晴れ上がり、この時期ならではの肌寒さが残りつつも、日差しは暖かい。


社会情勢により、保護者の参加は1名までで、僕は知人と談笑しながら園庭で待っていたが、得難い時間であった。ホールからは、先生が名前を読み上げる声や、園児たちが声を合わせてお別れのことばを唱和したり、歌をうたったりする声が聞こえてきた。


この1年、世界ではたいへんなことが起きていたけれども、それでも子どもを育む営み、学びは止まらなかった。そこにこそ、人間の強さがあるし、揺るぎないものがあると強く感じた。


マルティン・ルターの言葉に「たとえ明日、世界が滅亡しようとも、私は今日リンゴの木を植える」というものがある。結果がどうだとか、効率がどうだとかということの手前に、もっと大切なことがあると思っている。


子どもも、幾重もの試練を積み重ねて強くなるものだし、それは大人とて同じことである。そして、子どもと歩んでいく日々には、決して忘れることのない価値のある瞬間が確かにある。