甘美な、運動会。

息子の運動会であった。もう3回目、幼稚園最後の運動会になるのだ。おととしなぞは夜明け前から場所取りに並んだことを思い出す。


コロナの影響もあり、開場時間ギリギリに到着する。屋内での開催なので関係はないのだが、秋晴れの良い天気だ。


年長なので、鼓笛隊のような演奏もあるし、組体操もある。ここでもコロナのせいで演目は例年よりも若干変更されているが、立派にやり遂げていた。


そして対抗リレーだ。クラスごとに男女2人ずつ時間選ばれないのだが、年長にして息子ははじめて選手になった。たまたま、同じマンションの子たちがたくさん選手になっていたので、知ったる人たちがたくさん応援席にいるなか、リレーがはじまった。


他の家族は、子どもの名前を叫んで応援している。僕もそうすべきではあったのだが、なんだか照れ臭いのと、声を出して息子の名前を呼べば涙が溢れてしまいそうで、マスクのなかの口は真一文字に結んだままで、ハンディカムをまわしていた。


なんだか、えも言われぬ甘美な時間であった。ああ、こういう瞬間のために生きているのだな、という時間であった。