勝算。

「地方の虎」的な人と出会う。地方のしかも県庁所在地から遠く離れた過疎化の進むエリアで、従来の地場産業であった土建、インフラとは違う業種で勝負している経営者だ。Uターン、Iターン人材を引きつけている。なかなかお客さんの裾野も広がらず大変だとは思うが、いくつかの業界に手を伸ばして柔軟に経営をされている。


当然もともとその地方の出身で、海外経験などを経てUターンしているわけで、その地方の今後を引き受けるような役回りになっている。会社経営のみならず地場で驚くほど多くの役に就いている。いかに、若くて責任を負える人材が過疎地にいないか、ということがよく分かる。


分の悪い闘いであることは間違いない。そもそも、勝ち負けうんぬんで引き受けているものでもないのだろう。側から見ても大変だとは思う。それでも、こういう持ち場に自分の身を投げうつことができる人こそが掴めるものがあるのだなあ、ということもよくわかる。


少し前は、勝算を考えて勝負をかけることが良いとされていたけれども、これだけ先が見えない世の中になってくると、(死なない範囲内で)見切り発車でも何度も勝負を仕掛けるくらいのほうが、むしろ良いのかもしれない。負け戦を勝ち抜く、とは友人も言っていた言葉だが、その言葉がしっくりとくる時代になってきた。