滑落②。

(昨日の続き)同行していた友人と声で連絡をとりあい、やっとのことで脚を引き抜き(腰まで埋まっているので大変だった)、慎重にコースに戻った。そうして無事に降りてきた。登山口のあたりまで戻り、雪のない舗装路に出たところで、ああ生きて帰れたのだ、という実感が身体を包んだ。


それからも懲りずに山行は続けていたが、結婚してからは回数もめっきりと減り、子どもが産まれてからは行かなくなってしまった。人によるのかもしれないが、心境の変化というか、下手なところで死ぬわけにはいかんな、という気持ちに僕の場合はなってしまったのだ。また、子どもも成長してしまえば雪山に行くこともあるのかもしれない。


20代のあの頃、雪山に足繁く通っていた経験が、いまの自分にどんな影響をもたらしているだろうか。10年近くがたってやっと、経験を客観的に振り返ることができるようになるものである。