浮遊感。

久しぶりにしこたま飲んで帰路につく。前後不覚の一歩手前、という感じである。僕が酔ったときの特有の行動である、ひとりごとをぶつぶつとつぶやきながら帰りの電車に揺られる。

最近酔っ払うと、なにもかもがどうでもいい気持ちになってくる。もっと若い頃は酔っ払ったとしても、頭のなかは冷静なままで、いろいろと気を揉んだりしていたのだが、この頃はもはや気が大きくなってしまい、悩みごとも難しい案件も、どうでもいいや、どうにでもなるだろうと割り切ってしまうようになった。うじうじと悩んでいるよりはいいのだろうが。

酔っ払って電車に乗っていると、眠っているわけではないのに、意識が飛んでいることが多い。ひとつの駅に止まっていたかと思いきや、ハッと気づけばそこから何駅も過ぎていたりする。

僕はそこまでお酒が好きではないので、酒に溺れることはないのだが、お酒が好きな人は、いつもこのような浮遊感と付き合っているのだろう。それはそれでひとつの人生のように、今は思える。