2001年の晩秋。

登戸の事件に引き続き、練馬で親が子を殺したという事件に接する。切ない、としか言いようがない。どんな思いで父親はわが子に包丁を突き立てたのだろうか。


ニュースを聞いて、19歳になりたての秋のことを思い出した。夏休みに免許を取りすぐにクルマを買って、秋休みに初めてクルマで帰省をした帰りに自損事故を起こしたときのことだ。


ただでさえ事故を起こしてメンタルが弱くなっているところで、保険やらなんやらの手続きで見ず知らずのの人から冷たい言葉を浴びせられて、ショックを受けた。それまでなんだかんだ言って親にも庇護されてきたし、周りの人たちは性善説で付き合ってくれる人ばかりだったから、余計にその冷たさが身にしみた。ただ、そういうことがあったからこそ、窮地で人に甘えても仕方がない、どんな時も自分でなんとかしなければ、そのままズブズブと沼に沈んでしまうだけだ、という考えを身につけることができたのだと思う。


期せずして自立の精神を養うことに繋がったと思えば、中古車一台をお釈迦にしたことくらい、安いものだったのかもしれない。