あの頃あの歌。

地下鉄サリン事件が起こった日は、小学校の卒業式の前日だとかで、友だちと町内の食堂でうどんをすすり、すこし大人になった気分でいた。食堂のテレビはただならぬトーンで救出の模様を映し出していたが、大阪の下町からすれば、なんだか遠い世界の出来事に見えていた。

1995年というのはそういう時代だった。あの頃は鈍くてなにも感じていなかったが、どす暗い時代へと坂道をかけ落ちていくようなタイミングだったのだ。オウムという奇妙な集団と彼らが起こした一連の事件はその象徴のようで、僕の意識にも深く影響を及ぼしたのだと、今になって気づく。

僕はいまでも、ひとりで部屋で過ごしているときや入浴中など、ひとりごとのようにオウム関連の歌が口をついて出てくることがある。どういう精神の持ちようからその言葉が出てくるのかはわからない(オウムに傾倒しているわけではないことくらいははっきりしているが笑)。平成の時代もなんだかんだあったけれど、無意識下のレベルで最も染み付いている事象は、オウムのことなのかもしれない。

平成から次の時代に入っても、まだ僕はかの歌を口ずさむだろうか。