ポイペト。

ポイペトという街の名前を聞いたのは数年ぶりのことだ。社会人1年目なので、14年前になるだろうか。バンコクからシェムリアップまで陸路で移動したときに通った街だ。

ちょうど国境を越えてタイからカンボジアに入ったところにある街だ。当時からカジノはあったのだが、全体的には埃っぽくてボロボロになっての街で、街中をふらふらと歩いていると、HIVに感染した血液を注射器でうたれる、などというおどろおどろしい噂を耳に入れていた。そんなこともあって、心して街に足を踏み入れたものだ。

予想に違わず、街中では物乞いの子どもたちからしつこくバックパックを掴まれ、肝を冷やす思いをした。ほうほうのていでシェムリアップ行きのバスに乗り込んだものの、これまた道が悪路で、天井に頭をぶつけようかというくらいにバスは上下動を繰り返しながら進んだ。

そんな思い出の地も、あと数年すれば鉄道が通るらしい。どうなっているだろうか、久しぶりにこの目で見てみたくなった。