滑走路。

「滑走路」という詩集を読んだ。


詠み手の感受性が繊細で、ぼくの心にもしんみりと沁みるものであった。その繊細さがゆえに、彼は命を絶ってしまったのでもあるが。


ぼくも同じように繊細な心を持つ少年だったし、いまでもそのカケラを心の片隅に持つ人間であると思っているが、いくぶんかだけ、ふてぶてしかったり、鈍感な部分があったのだと思う。だからこそ、こうして書く文章がつまらなかったり、生き永らえてしまったり、ということがあるのだけれども。


夭折を惜しむ声も多いのだけれども、亡くなる前の数年に詠まれた歌には、だんだん悲痛なものが増えている。運命を呪いながらも、精いっぱい前向きに生きて、そして彼は人生を生ききったのだと思う。


月並みな言葉だけれども、ぼくは生きなければならない。彼よりもふてぶてしく、そして汚れた心を持っているからこそ、しぶとく生きなければならない。そんなふうに、勇気をもらえる詩集だった。素晴らしい詩集だった。