コスト。

最近は普通に出社する日であっても朝早く家を出ることが増えてきた。ひとつめの乗り換え駅で数本電車をやり過ごして座席を確保し、もうひとつの乗り換え駅ではしばしば入場制限がかかるので、空いているほうの改札から入場して、比較的混雑がましな号車に乗り込むためである。

なんというか、人ごみをかきわけて少しでも良いポジションを確保しようとか、ぎゅうぎゅうの扉に自分の身体を押し込んでいこうとか、そういうある種のガッツのいる行為を避けている自分がいる。昔はタイトロープな生活を送っていた時期もあったのでやむなくそういう選択をしていたわけで、余裕がでてきたのは良いことなのだが、それとともにガッツも失ってしまった。

運任せ、勢い任せにしてタイトロープを渡るのは、本来であればひとつずつ丁寧に踏むべきステップを飛ばしたり、人に押し付けているようなものだ。いつまでもそんな無理は通らない。人に押し付けたコストは、いつか自分にはね返ってくる、といまは勝手に思って、行動している。