人事。

春は人事異動の季節である。幸か不幸かわが社は小体なのでダイナミックな人事異動とは縁がないのだが、付き合いのある会社の人事異動を眺めていると実に面白い。むろん本人にとっては死活問題であるのだろうが、この業界の人が人事になみなみならぬ興味を抱く理由がここ数年でよく理解できるようになってきた。

ある程度の規模を超えた会社にとって、人事は会社であり経営陣からのメッセージである。期待されているのかそうでないのか、どの部分を評価されているのか、その人のキャリアをみればなんとなく分かってしまう。その昔、新しく異動してきた際にこれまでの異動歴を淀みなく暗唱して自己紹介をする人がいたが、あれはあれで、どんな仕事をしてきたか説明するよりもはるかに効率的に、自分のキャリアを紹介する効果があるのだろう(この業界特有であるだろうが)。

順調に王道を歩む人もいれば、一度左遷されたように見えたもののまた返り咲く人もいる。かける声が難しいようなケースもある。サラリーマンの世界はかくも奥深い。