虫の知らせ。

冬晴れの日が続き、3年前のことを思い出した。おばあちゃんが亡くなったときのことだ。


その年の秋頃から、介護用ベッドをしつらえて自宅療養に入っていたのだが、12月に入るとめっきり衰弱が進んだ。その頃も出張で頻繁に大阪にくることがあったのだが、亡くなる4日前だったか、用事を終えて大阪を後にするときに、無性に胸さわぎがして実家に電話を入れたのだ。帰りの新幹線の時間は決まっていたのだが、そんなことが全く気にならないくらいの衝動で、自分でもそのような行動に出ることはまず考えられなくて、なにか虫の知らせに突き動かされたとしか言いようがない。


結局母親に寄らなくても大丈夫よ、と諭されたので、そのまま帰京してしまったのだが、あの胸さわぎが記憶から離れない。ただ、帰ってしまったことに後悔の念はないのは、胸さわぎが起こったときに、自分自身の気持ちもおばあちゃんに届いたのだと信じている(都合のいい解釈かもしれないが)。それ以来、実家によるときには、仏壇にあいさつをすることが欠かせなくなってしまった。