着地点。

20代半ばの頃から切磋琢磨してきた友人と食事をする。お互いにポジションもずいぶんと変わり、話すことの内容も変わってきたけれども、その本質はあまり変わっていないように感じる。


お互い周りでいろんな事象が起こるのを見てきた。共に苦労や挫折を経てきたけれども、それらはギリギリ一線を超えないがための天の示唆だったのかもしれない。そうしてなんとかいまの場所にたどり着いた。


上昇していくことを夢見てあがいてきたけれども、そろそろ、自らのスキルと性格、そして成功を追い求めることでかえって見失ってしまうものにも気づき、それぞれの着地点を探そうとしている。


どれだけあがこうとも、人生とは運やタイミングで決まってしまうものだけれども、少なくとも準備している人間にしか、運やタイミングというものは訪れない。切れかかった綱を手繰り寄せて、どこまでジャンプできるか。いつまでも指をくわえて見ているだけではダメなのだ、と逡巡しながら、帰りの電車に揺られる。