パラオ。

新幹線の座席に挟み込まれている雑誌を手にとってみると、地政学の特集をしていた。「地政学」は大学で講義を受けたことのある懐かしいワードだ。

パラオの記事が出ていた。中国が定める「第二列島線」に位置するこの島に、経済的にも政治的にも中国の影響が色濃く出ているそうだ。島を訪れる中国人観光客の数は、日本人のそれを逆転し、いまではダブルスコアをつけている。

別途調べてみると、島外人が土地を取得できないこの島では、高額の賃料を落として土地を借りる中国人が増えているらしい。その賃料は地元住民を潤している。実際にカネが転がり込んでくるとなれば、中国に対する潜在的な期待感は抑えようがないだろう。

もちろんパラオ政府としては、中国との距離を保つことを意識しているものの、現状はなしくずしに中国に侵食されている。そしてなしくずしに侵食されているのは、パラオだけではない、という気がしてならない。