久しぶりに将棋の話。
前は欠かさずに見ていたNHK杯将棋トーナメントもすっかり見なくなってしまったが、久しぶりに興味をそそられるカードが出てきた。藤井聡太七段vs今泉健司四段である。
中学3年での衝撃のデビュー以降も順調に実績を積み重ねる高校生棋士の藤井七段と、何度も奨励会の壁に阻まれた後に戦後最年長41歳でのデビューを果たした今泉四段はその歩みも対照的だ。実力から言えば藤井七段に圧倒的に分があるのだが、どうしても今泉四段のジャイアントキリングを期待してしまう。
対局は先手の今泉四段が終始攻め続けた。途中でおそらく双方にミスが出て、形勢は二転三転したが、今泉四段はチャレンジャーらしく前のめりな姿勢を崩さず、途中で切れかけた攻めをなんとか最後まで続け、藤井玉を詰みに打ち取った。今泉四段の勝利を望んではいたが、まさか現実のものになるとは思いも寄らなかった。
終局後に配信された記事のインタビューで、「人生観が出た将棋」と今泉四段は語っていたが、まさにそれにふさわしい内容だった。いいものを見せてもらった。