スナックと生態系。

大阪でよく行くスナックがあるが、その店は、いつも連れていってもらうその人『仮にAさんと呼ぶ)が、ダントツで太い客となっている。店にとってはAさんこそが生命線なのだ。

常連客はみな、Aさんと仕事上で付き合いのある人たちである。もちろん関係はさまざまなので、その時々の会計はそれぞれの人が持つのだが、全てはAさんを中心にまわっている。自然と常連客どうしも、顔見知った仲になる。

そして面白いことに、自然と仕事の生態系もAさんを中心に作られていくのだ。同じスナックに通う人たちのなかで仕事がまわされていく。そしてそのなかで儲けた分の一部が、そのスナックで飲み食いされて落とされていく。

場末のスナックであるからして、一見さんの客はほとんどこない。かくして、スナックはいわばひとつの小宇宙になる。スナックが持つ思ってもみなかった「場の効果」である。スナック論については、面白いので、引き続きちょこちょこと書いていきたい。