シングルベッド。

大阪出張の1日は長い。夜になっていきつけのスナックで毎度のごとくカラオケに興じる。ふと思いついて、シャ乱Qの「シングルベッド」を唄う。

その日の朝、市役所に電話をかけて、粗大ごみの収集申し込みをした。パイプでできたシングルベッドを引き取ってもらうのだ。

このベッドを買ったのは9年前に上京した時だった。通販サイトで1万円もしなかったはず。武蔵小山に住んでいた独り暮らしの時代、ワンルームの部屋にいる時間のほとんどはこのベッドの上で過ごしていた。なにも用事のない休日などは、根っこが生えて同化したかのようにベッドにくっついていた。「シングルベッド」の歌詞じゃないけど、東京に出てからひとつの居場所を見つけるまでの、悶々とした時間をこのベッドと過ごした。

シングルベッドはとうの昔に卒業していたけど、なんとなく部屋の片隅に残していて、来客時や病気のときにたまに使っていたのだが、いよいよ手放すことに。シングルベッドとサヨナラして、代わりに舞い込んでくるものはなんだろうか。