コインランドリー。

ふと、街中を歩いているとコインランドリーを見つけた。なにも用がないのに入ってみた。いまどきのコインランドリーは明るくて清潔だ。


武蔵小山で一人暮らしをしていた2007年から2011年まで、実は洗濯機を持っていなかった。平日はユニットバスでワイシャツと下着を洗い、土日にまとめてクリーニングとコインランドリーに洗濯ものを抱えて走っていたのだ。


当時のコインランドリーは、電灯もろくについておらず、四隅にゴミやほこりが溜まり、少し古いジャンプが置かれているようなところだった。ぼうっと待つのも気怠いので、スイッチを入れるとすぐに自宅に戻り、終わった頃を見計らって向かうだけで、コインランドリーでじっと待つということもなかった。


なので、コインランドリーの思い出もそんなにないはずなのだが、ふと、ないはずの記憶が甦ってきたのだ。暮らしていた頃の街並み。週末誰にも会わずに悶々と過ごした時間。泥のように疲れて帰宅し、ベッドに横たわった時の倦怠感。もう繰り返したくはない時間だが、愛おしい人生の一ページだ。