真夏の雫。

もうこれまでに何度も書いていることだが、台風一過の朝は空の色が違う。空気中の浮遊物がなければこれほどまでに違うのか、というくらいに違う。台風が南国の空気を連れてきたから、太陽光の透過率が違うのかもしれない、と思わせるほどに違う。南の島のようなカラッとした暑さになるので、南国の空気が空を覆っていることは間違いない。

照りつける日射しのもと、家を出る。気温は高いけれども、吹き抜ける風は秋のような柔らかさを保っていて、季節の変わり目を感じる。久しぶりの保育園には、休み明けしていなくて慣れない子どもたちの泣き声が聞こえる。うちの息子も、今でこそけろっとバイバイと言って中に入っていくものの、昔はあんな感じだったな、と思わせる。

保育園を出て、かかってきた電話に出る。休み中は全く仕事をしていなかったわけではないものの、電話の第一声が出る前の一瞬にためらいが残る。それは本当にその一瞬で消えてしまう真夏の雫のようなものなのだれども。