薄い膜。

昨日の朝、家を出る前にテレビを点けると、政府専用機羽田空港に着陸するシーンが現れた。しばらくすると棺が飛行機から出てくる。早朝にもかかわらず政府関係者だろうか、出迎えの人の姿も見える。チャンネルをまわしても、羽田空港からの中継を流している局が多い。当然のことながら、キャスターのナレーションはほとんど入らず、空港の静かな光景がそのまま流れている。なにかと騒がしいいつもの朝の情報番組とは違う。

僕は個人的には、今回の事件がいまの政権の外交姿勢に責任があるとは全く思わないし、日本がテロリストから狙われる国家になった!と騒ぐ論調にも同意しかねるけれども、朝からテレビでこのような光景が淡々と流れることに、言いようのない不安感を覚える。もちろん海外でその国のために力を尽くして働いていた方が突然の刃に倒れたことを、国として対応することは必要だろう。朝からこんなシーンを見たくない、というのは程度の低いワガママに過ぎない。それはわかっているのだけど、どこか薄く膜の張った不気味さが残って仕方ない。

このシーンを見て、息子が「ひこうき!ひこうき!」「バス!」なんて叫んでいるからなおのこと。