ええかっこしい。

この正月に亡くなった、友人の家に行ってきた。

小さな骨つぼと位牌、それに彼が使っていたであろう携帯電話、新婚旅行の写真が添えられていた。そして彼は日記を残していた。どちらかと言うと僕とは正反対の人間であった彼が日記を書き残していたことが意外だった。生前の彼の口調そのままの文体で日記は書かれていた。相当な照れ屋である彼が、家族への感謝を言葉に落とし込んでいたことにまた驚いた。僕はここまで率直に文章を書けるだろうか、と思いを巡らせた。

中高生の頃から一貫して、彼はカッコつけることをしなかった。どんなこともカッコ悪く笑いに落としていた。高校の卒業式、答辞で(もとがカッコ良くもないのに)カッコよくまとめようとした自分に対して、卒業式第二部で壇上に上がった彼は僕の発言を引用しつつ笑いを取った。カッコつけることで得られるちっぽけな自己満足よりも、みんなで楽しく笑いあえることが好きな奴だった。そのあたりのふるまいは本当に僕とは正反対だ。ただ、そんな彼がこの1年間に垣間見せてくれた生きざまは否応なしにカッコ良かった。今ごろ天国で彼自身戸惑っているんじゃないかというくらいカッコ良かった。

お疲れさま、ゆっくり休んでな。僕は残念ながらまだ当分ええかっこしいが抜けない。死期が近づいたらええかっこしいが抜けたりするのだろうか。