会社と個人。

年明けの始業日に、うちのボスが「この会社を社員にとっても良い会社にしたい」という主旨のことを言っていた。それは会社として目指すべきゴールではある。けれどもそれは果たして実現可能なことなのかしらん、という疑問が残った。

社員の数だけ、「良い会社」の価値観は違う。少ないメンバーでやっている会社ならばともかく、社員個々の価値観に会社が合わせていくことは現実的には難しい。価値観の幅を広げる、という試みは考えられるが、人の価値観も日々変化するものであるから、どうしても会社の価値観と個々人の価値観はズレていく。

価値観のズレを補うのは、給料であったり肩書きであったり、福利厚生であったりするだろう。ただ、それらはあくまで補助的な要因でしかない。補助的な要素にしがみついて価値観のズレを許容することは、会社にとってはそれでもいいのかもしれないが、個々人にとっては幸せなことではない。

結局のところ、所詮会社と個々人の価値観にはズレがあるということを認めるしかないのだと思う。価値観がズレているときに、会社はむやみに個々人に寄り添っていくことはできないし、補助的な要素で飼い慣らしてしまうのもよくない。それは社畜として洗脳するようなものだ。

となると、価値観がズレたときにはその会社を去る、そして会社も個々人のその判断を引き止めない、というのがあるべき姿なのだろう。もちろん、その際に会社が譲歩したり、早まった判断でないことを確認することは必要だろうが。