フロンティア。

かつて世界はいくつかの圏域に分かれて独自の発展を遂げていた。やがて資本主義経済を掲げる諸国が力を増し、他の経済圏を飲み込み、中心と周縁が生まれた。世界はひとつの経済圏となり、周縁はフロンティアと呼ばれ、中心よりもより安価に生産活動を請け負った。フロンティアと言えば、少し前までは中国だった。しかし中国はもはやそこを脱し、周辺の小国やアフリカ各国などへとフロンティアは移っていった。そしていま、フロンティアと呼ばれた地域が消滅しつつある。世界は程度の差こそあれ一様に成長を果たし、中心と周縁の差は急激に縮まっている。

しかしながら、資本主義は必然的にフロンティアを作り出してしまうシステムでもある。海外にフロンティアがなくなれば、ひとつの国内のなかで、もしくはひとつの会社のなかで新たなフロンティアが作り出される。それが、いまの世界で起こっていることなのだと思う。かつて先進国と呼ばれた国のなかで、格差が拡がっていることはこれとつながっている。それでも資本主義は他のどんな体制よりも1番マシな方策なのだろうか、それとも資本主義は限界を示し、それにとって代わるより良い体制が生まれることはあり得るのだろうか。