駅前ビル。

大阪駅の南側に4棟のビルが建っている。1970年代に相次いで建てられ、それぞれ大阪駅前第1ビル〜第4ビルと名付けられた建物だ。どの棟も、地下はやたらと多い金券ショップを皮切りに立ち呑み居酒屋、ゲームセンター、古本屋、昭和の香り漂う雀荘や喫茶店など、大阪駅周辺のデパートや地下街とは全く違う種類のテナントが入っている。1階にはスーツやゴルフ用品販売店、不動産屋やドラッグストアが並び、その上は公的機関が入居しているようだが、2階より上には足を踏み入れたことはない。どのフロアも空きテナントが多く、にぎやかな場所とひっそりと人気のない場所の落差が激しい。ビルの照明も薄暗い。1番古い第一ビルはもう築40年を超えているので、新築当初は最新のインテリジェンスビルともてはやされたであろうデザインや構造も、古ぼけて見える。入っているテナントといい、まるで昭和で時が止まっているようだ。

大阪駅周辺はずっと再開発が続いているが、この4棟のビルはその流れからはずっと蚊帳の外だ。所有者が何百人(社)に分かれており、意向を合わせるのが難しいのだろうが、それゆえにこれからもこの場所は変わらない時間が流れていくのだろう。それはそれで悪くはないようにも思う。ピカピカのフロアよりも、ちょっと薄暗い廊下の方が心地よかったりもするのだ。