見えない強さ。

3ヶ月ぶりの北陸。雪は薄く積もっているが、天気は快晴で気持ち良い。仕事のほうでも面白く広がっていきそうな話をいただき、わざわざ来たかいがあった。満足感のある帰り道。

★★★

なんとなく高揚感が漂っていた年末年始が終わって、マーケットは思わぬ急落に見舞われている。日経平均は年末高値から2,000円近く下がった。きょうの上げでひと息ついたように見えるが、ここから反発していく気配はない。

アベノミクスをなんとしても成功に導きたい政権としては苦い状態なのだろうが、僕自身はほっとしている。年末の高値には正直気持ち悪さを感じていたからだ。1ヶ月前のエントリで今年の相場は15,000円から上下1割と書いたのもその気持ち悪さに依るものだ。

今回の売り自体は、アベノミクスの化けの皮が剥がれただとかそういうものではなく、単に米国がテーパリングを粛々と進めますと宣言したことから、新興国経済に及ぶであろう負の影響が懸念された、というものである。米国経済は相当回復しており、もはや大規模な金融緩和を必要としなくなった。しかし米国が金融を引き締めることで、ミニバブルが弾けそうになっている新興国が真っ先に影響を受けるのだが、米国はそこまで気にしていられません、という意思表示をしたのである。本件を含めて、最近の米国は世界の番人としての地位を手放そうとしている素振りがしばしば見られるようになった。

という一連の流れから日本株も売られたわけで、日本経済が悪化しているということとの関連性は薄い。アベノミクスだなんだと言われる以前から、企業は外部環境に左右されず着実に利益を生み出せる体質へと変わろうとしてきたし、少し余裕の出てきた今だからこそ先を見据えて手を打とうとする動き、海外に機会を求めようとする動きも活発化している。過去の好景気時に、あぐらをかいてこの世の春を謳歌していたような雰囲気はない。今さらなのかもしれないが、何度も苦しい時期を乗り越えて、日本企業は本当に強くなったと思う。

とりわけ強くなったのは、日経平均に組み入れられることのない、小さくても光る上場企業やオーナー系の非上場企業だと思う。今与えられた環境のなかで、文句も言わずコツコツと体質を強くすることに努めてきた企業の力が強くなっている。

日経平均株価からは見えないところで、日本経済は着実に強くなろうとしている。新興国も早かれ遅かれこのボトムアップしていく強さを身につけられると思っている。世界経済も、少しの停滞の後また動きが出てくるはずだ。